理性の限界
僕は大学に入学する前の春休みにこの本を読みました。
めちゃくちゃ面白いです!!
どのぐらい面白いかというと、ハンターハンターのキメラアント編やワンピースのアラバスタ編を初めて読んだ時ぐらい興奮しました。難しい学問のめちゃくちゃ興味をひく部分だけを抽出した本です。
理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性 (講談社現代新書)
- 作者: 高橋昌一郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/06/17
- メディア: 新書
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本の特徴
・「理性の限界」についてのシンポジウムが開催されたという設定で、様々な立場を持つ人たち(会社員、運動選手、数理経済学者、カント主義者、科学主義者などほんとうにいっぱい出てくる)の会話形式で話が進む
・それぞれの立場の人が自分の専門分野の話を延々と語り出そうとする→司会者が止めに入って話を戻す という流れが多く、一つの見方に深く入り込むことなくいろいろな考え方を知ることが出来る。(カント主義者とかは何の話でもカントに持って行き、他の人からたしなめられるので面白い)
・会話は実際に人が話しているのではなく筆者が全部書いているのだが、難しい学問の「説明」になっていないところがとてもいい。対話形式を採用し、体系だって説明する必要がなくなることでより読者の好奇心を刺激するところにフォーカスできていると思う。
面白いところ
僕は個人的に2章の科学の限界が面白かったです。「科学の限界」は大雑把にいうとニュートンの物理学→アインシュタインの物理学→量子論 と科学が発展してきた話をして、最終的に「めちゃくちゃミクロの世界ではどんなに頑張っても『知ることができない』(不確定性)」という話に進んでいきます。
ニュートンの物理学では「世界中の現象を同じ数式で表せる!!」というブレイクスルーが起こり、何百年もニュートンの力学がいわゆる「真理」だという時代が続きます。
しかし光は例外だと気づいたアインシュタインは宇宙のような大きすぎるもの、光のような速すぎるものでさえも扱えるさらに普遍的な物理学を築きます。
しかし原子より小さいようなミクロの世界ではアインシュタインの理論でさえも太刀打ちできず、どうやら小さすぎるものを計算することは「どんなことをしても絶対不可能」らしい・・・
という話で、読んでいてめちゃくちゃ興奮しました。「知ることを極めていった結果知れないことを知る」というのができすぎな展開で、まるで進撃の巨人のウォールマリアを奪還して伏線を回収しまくっている部分を読んでいるときのような身震いを覚えました。
まあここに書いた拙い文章では僕が味わった興奮の100分の1も表せていないんで、みなさんぜひ買って読んでください!
数式とか面倒な解説は一切出てこないんで、物理未修の文系の僕でもすらすら読めました。